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ストーク・ストーキング4
「あっ、いや、その、気がするってだけ」
両手をぶんぶんと振って二人に弁明する。弁明ってのもおかしな言い方だけど、そう言いたくなってしまう雰囲気なのだ。
「何されたの?」
「なに……えっと、つけられてる、かな」
「それはいつだ」
「あっ……と、一人でいる時」
「他に何かされてる?」
「……写真を、撮られてる……かも」
「どんなやつだ」
「んー……男の人、です……」
「ちっ」
「ちっ」
横から斜めから次々質問が飛んできてあわあわする。しかも男の人って言った瞬間、二人とも舌打ちした。舌打ち。
つけてくる以外、何もされないんだけどな……。ちょっと怖いけど、家までついてくるとかはないし。
「もしかして今日もされてたの?」
「……うん。でもねっ、いつも途中でいなくなるから……」
颯太の目つきが怖かったので言葉を重ねる。しかしそういう問題じゃないと言われている気がして、結局尻すぼみになってしまった。
「ストーカーはストーカーだかんなぁ。亜樹ちゃんを狙うオヤジ……か」
「亜樹にナニするつもりだよ」
「許せねぇな」
言葉を発する二人の視線は鋭くて、今にもストーカーをボコボコにしてしまいそうな勢いだ。
そんな二人は怖い。それに少し心配。でも愛されている感じがして……嬉しい。
二人はどうするか考えているのか、それきり黙ってしまった。
やがて颯太が顔を上げる。
「ね、亜樹。俺もストーカーしていい?」
「…………え?」
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