840 / 961
フラッシュ2
外に連れ出され、自然と空を見上げる。
随分日が落ちるのが早くなった。もう既に星が瞬いている。
颯太は夜空を見上げ、緩く笑んだ。その横顔に見とれてしまう。
かっこいい。どんなに悩んでいても、その思いだけはいつも変わらないみたいだ。やっぱり僕は、颯太が大好き。
「そんなに見つめられると照れる」
「てっ……照れたことなんか、ないくせに」
「そんなことないって」
颯太はいたずらっぽく笑って、僕を抱き寄せた。
鼻腔一杯に颯太の爽やかな匂いが満ちて安心する。じわりと涙がにじむ。
「……ごめんなさい」
「んー?」
颯太の声音は穏やかだった。とても余裕があって、僕を丸々包み込んでくれるみたいだ。
「颯太と付き合ってるってこと、言えなかった」
「お父さんにってこと?」
「ん……。いいお友達なんだねって言われて……否定できなかった」
「亜樹は優しいね」
颯太は体を離すと、指で僕の顎を掬った。ぽろぽろ泣く僕を見て、愛しそうに笑ってくれる。
ちゅっと唇が僕の目に触れて、涙が吸い取られた。
「初めて会った人、しかもお父さんに、告白できる人なんてなかなかいないよ」
「でも」
颯太は親同然の久志さんに、すぐ告白してくれた。
「俺は亜樹がそう思ってくれるだけで嬉しい。大丈夫」
「……颯太」
「ふふ、泣き虫」
颯太は僕にキスをする。今度は唇。
熱くて柔らかい唇から、熱がじわじわ広がっていく。心地よくて、溶けてしまいそう。
「帰ろっか」
「うんっ……」
僕と颯太は自然と指を絡めた。
ともだちにシェアしよう!