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たかちゃんの受難2
朝。
俺はいつも以上に早く家を出た。朝練には全然早い。体を温めた頃に定刻になりそうなくらいだ。
これで凛に会わない。
そう思いつつ玄関を出て、門を通り抜ける。
そして顔を上げる。
「……」
「……」
目の前には凛がいた。お互い考えることが同じらしい。
凛はふんっと俺から視線をそらすと、学校に向かって歩きだした。俺はむっとして凛を早歩きで抜かした。
凛はそんな俺を睨むと、さらに早く歩いて抜かす。
俺はそれを抜かす。凛も抜かす。
そんなことを繰り返していれば、いつしか走り出すわけで。結局、二人して走って学校に行った。
息を切らしつつ部室に入った俺らは、練習着に着替え、準備を始め。みんなが到着する頃にはすっかり終えていた。
どうしたどうしたと慌てる部員をよそに朝練をこなし、同じ教室に入り。
ああ、なんだって凛とこんなに生活が同じなんだ。
そう思った。とことん俺と凛は一緒の生活サイクルらしい。
喧嘩相手を常に視界に入れなきゃいけない生活とか、最悪すぎる。
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