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りすと思い出5
「小学生の時、陰口聞いちゃったおれが学校行かないって言ってたら、たかちゃんくれたの」
「小学生の時……」
人間関係で色々悩みがちだった凛だから、それらしい事件はたくさんある。一つ一つ辿っていって、その時のことを思い出そうとした。
学校に行きたくないと悩む凛、励ますためにりすをあげる俺……。
「ああ!」
「やっと思い出した」
凛がぐりぐり頭を押しつけてくる。痛いけどそれすらも愛おしかった。
あの時の俺は凛が泣いて学校を拒否するのに随分困惑した気がする。凛が学校に来てくれないのは嫌だったから、どうにかしないとと足りない知恵を働かせた。それで結局りすのぬいぐるみを小遣いはたいて買った気がする。
「"凛動物好きだろ。これやるから学校来て"」
「……細かいセリフまでよく覚えてんな」
凛の声に何となく自分が言った記憶が蘇る。
思えばあれが最初かもしれない。凛が学校に行きたくないと言うのも、人間関係で悩んだのも。
そして俺が、凛を守ってやりたいと、思ったのも。
そんな大事な出来事をなぜ忘れていたのか。
「おれ嬉しかったんだよ……すごく……」
「……俺も嬉しいよ。凛がそんな昔の記憶を大事にしてくれてるなんて」
「なにそれ」
「え」
凛の声に急に怒りが混じる。胸元から俺を見上げる凛が、鋭く睨んできた。
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