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りすと思い出7
凛が泣き止む頃には昼休み終了ぎりぎりだった。俺と凛は急いで教室に戻る。
ガラガラと引き戸を開ければ、清水たちが視線を向けてきて。いつものように渡来と間宮の席の周りに集まっていた。
「ちゃんと話し合ってきたのか?」
「ああ」
そこへ行けば清水が薄く微笑みながら問うてくる。
「俺は凛との思い出忘れてた」
「おれは拗ねて意地張った」
「結局、痴話喧嘩か〜」
端的に理由を告白すると、間宮が横からため息を吐いてくる。その言葉に渡来も清水も松村もちょっと吹き出す。
「お前らの喧嘩の理由なんてそんなもんだよなー!」
「そんなことだろうとは思ってたけど」
「でも仲直りできてよかったね」
渡来以外、一様にからかってくる。色々迷惑をかけたしこれくらい我慢をしろということか?
ただ俺らからすれば本気だった。本当に凛にムカついたし、絶対話さないとも思ったし。
清水がいなければ和解なんて無理だったかもしれない。
「酷い〜おれとたかちゃんは本気だったんだから〜」
「まあ、険悪だったよな」
「可愛いもんだけどね」
凛が俺にぐてっと抱きつきながら、ぶーぶー文句を垂れる。
みんな普通に言葉を返しているが、戻ってきた俺らの日常に、どこか笑ってくれている気がする。
いい友人を持ったと素直に思う。
俺は抱きついてくる凛の腕に、そっと手を添えた。
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