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凪3
薄く寒さを感じて、目の前の体温に擦り寄る。まだ眠いけれど、そっと瞼を持ち上げる。
「おはよう」
目の前には柔らかく微笑む颯太がいた。
颯太は僕の脚にするりと自分のものをからませる。僕は腕を颯太の背に回す。
触れ合う肌が心地よかった。
でも幸せな日も終わっちゃうなって、寂しい。
また勉強の日々に戻って、学校でしか会えない日々になってしまう。
「……おはよう、したくない」
「ふふ、何それ」
颯太が痛いんじゃないかってくらい強く抱きつく。
「大丈夫だよ。大丈夫」
「……ごめんね」
「いいんだよ。そんな亜樹も好き」
颯太だって辛いのに。僕はすごく弱い。
十二月が終わったら、すぐにセンターが来てしまう。だから仕方ない。
仕方ない。
「初詣、一緒に行こうね」
「……うん」
「今年も終わるね」
「それどころじゃ、ないね……」
「確かに」
まだ学校はある。だからまだ一緒にいられる。残された時間を大切にしたい。
その日は少し長めの朝を過ごした。
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