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初詣1

「亜樹、明けましておめでとう」 「明けましておめでとう……」 僕は目の前の人に微笑む。 「母さん」 颯太と最後に一緒に過ごした日から一週間と経たないうちに年は開けた。そして今日は颯太と初詣に行く日。 準備を終えて部屋を出たところで母さんに会った。 「颯太くんと出かけるんでしょ? 勉強忘れて楽しんできなさい」 「ありがとう。母さんもゆっくり休んで」 「ありがと」 三が日は流石に母さんも仕事は休みだ。毎日頑張ってくれている母さんを労って、僕は家を出た。 息を吐くと宙に白いもやが舞う。 受験ばかりで新年を迎えた気分はあまりないけれど、正月特有の静けさでなんとなく実感する。 「あれ、亜樹」 「おはよう、颯太」 少し歩いたところで颯太と出会った。僕が前にあげたマフラーをしてくれている。 似合うなぁ。 「どうしたの。迎え行くって」 「早く会いたかった」 「可愛いすぎるでしょ」 颯太は締まりのない顔で僕の頬を両手で挟んだ。左手の薬指からひんやりした温度を感じる。僕は颯太の手に自分の手を重ねた。 僕の左手からもひんやりした温度がいっているはずだ。 一緒に出かけるときは、指輪を指につけることが最近は増えてきた。 「早くお参り行こ?」 「新年早々幸せだなぁ」 僕が颯太を見つめて言えば、颯太はそれは幸せそうに笑った。

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