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初詣5
「なんかこうして集まんのも久々だな!」
「まあ冬休みだし、みんな忙しいしなあ」
人々の喧騒から少し離れた場所で、みんなが勢ぞろいした。初詣に行くならまだしも、時間帯まで被るとは幸運だ。
最近は受験ばかりでのんびり会話をするいとまもない。
「そういやみんな受かったらどこ行く?」
「こんな時まで受験かよー!」
「だって今日くらいしかねーだろ」
「おれも気になる〜」
不意に轟くんが言い出した言葉に松村くんがうわあと叫んだ。そういえば他愛のない話はよくしていたけれど、志望校の話はしたことがなかったかもしれない。
みんなどこらへんに行くのだろう。きっとバラバラになってしまうけれど。
「じゃあ言い出しっぺの轟から!」
「俺は茨城」
「へぇ〜小室も一緒だったりすんの?」
「おれは亜樹くんと同じとこだよ〜。宮城〜」
「えっ」
ずっと一緒だった二人が一緒じゃないことよりも、僕と同じというところに驚いてしまう。轟くんに合わせるか、もしくは柊先輩と同じところかと思っていた。
もしお互い受かれば、一緒に過ごせる。
「一緒だったんだね、凛くん」
「法学部目指してるからね〜これ以上あげたら厳しそうで」
「学部も一緒!」
「ふふ〜」
僕と凛くんは両手を繋ぐ。凛くんが嬉しそうにぷらぷら振り回した。
僕もにこにことそれに答える。
「寂しくなるね、轟くん」
「まあ、仕方ねーよ。それに間宮たちもだろ?」
そんな僕と凛くんを微笑ましそうに眺める二人が話し始めた。
凛くんが一緒で嬉しい。でも轟くんの言葉でつきんと胸が痛む。
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