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成果の行方1
「受験票、鉛筆、ホッカイロ……お守り」
リュックの中から一つ一つ取り出しては確かめる。忘れてはならないものも、颯太とお揃いのお守りも、ちゃんとある。
それから。
胸に触れて、金属を感じる。
指輪も、ちゃんと。一番のお守り。
新年を迎えてあれよという間にセンターの日になってしまった。学校でも家でも、最後の最後のあがきをして、詰め込みまくった。
もはや緊張はない。ここまできたら腹をくくるしかないのだから。
「よし。行こう」
しっかりチャックを閉めて家を出る。
「おはよ、亜樹」
「おはよう、颯太」
玄関の前にはもう颯太がいた。しんしんと雪が降る中で白い息を吐き出している。
僕も傘をさして颯太に並ぶ。
「なんでセンターの日って雪ばっかりなんだろうね」
「本当になぜか毎年降るよね」
「駅まで辛抱かあ……」
会場はさほど離れていない大学だ。
家から駅まで歩いて、そこから大学の最寄り駅まで電車に揺られる。余裕を持った時間に待ち合わせたから、いつも通りに颯太と歩いて向かった。
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