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卒業4

卒業式はそつなくこなした。 自分たちの卒業式だからと言って、心境とか何か変わるかといえばそうでもなかった。男子校だから泣く人もあまりおらず、順序通り淡々と進んだ。 答辞とか送辞とか、歌を歌ったり、卒業証書を数人が直接受け取ったり。それで吹奏楽部の演奏に見送られながら体育館を出て。 教室に戻ってからは卒業証書を受け取ってない人は貰って、記念品を受け取って、少し話を聞いたらあっさり解散だ。 連れ立って出かける人も、部活の送迎会に出る人もいた。 「校長先生の話の時は流石に寝ちまったー」 「卒業式だとより長いもんな」 僕はといえば、いつものメンバーで集まって、談笑タイムだった。 「てか本当に卒業したんだなー。明日からこの制服着たらコスプレになるわけだ」 「合否出てねーからいまいち晴れやかじゃないんな!」 「ほんとそれ〜」 前期試験の合否発表は大抵が三月中旬に集まっている。合否発表後にしないのは、皆平等にするためなのだろう。必ずしも全員合格するとは限らないのだから。 「亜樹先輩」 「え、仁くん!」 そうやってわちゃわちゃ話をしていたら、教室に仁くんがやってくる。一直線に僕の元へやってきた。 「卒業おめでとうございます」 「あ、わ、ありがとう……」 当然のごとく僕に触れてこようとする手。颯太が僕の体を引いて阻止された。 仁くんは一瞬颯太を睨むもすぐに僕に視線を戻す。 「俺も同じ大学目指しますから」

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