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なぞって、あるいて、こぼれて6

「……取れた!」 「おめでとう」 結局僕が自力で取れたのは、五回繰り返したあとだった。 五回で済んだだけマシだと思いたい。颯太が手伝ってくれた記憶の残滓を懸命に追ったからかもしれない。 僕は落ちたリスを取り出す。 色は、黄色。 「颯太に、あげる」 「……。ありがとう」 「僕と颯太は離れちゃうけど、この子は一緒にしてあげて」 「……」 恥ずかしい、けど、少しでも颯太に僕を感じて、ほしい。 赤くなる頬を隠しつつ颯太を見ると、当の本人はきゅっと唇をひき結んでいた。そして息を詰めていたかと思うと、 「……可愛い……」 絞り出すように言う。 おかしくて笑ってしまう。 「毎日くっつけて置いとく。なんなら毎日体位変えた状態に……」 「ちょっ、颯太!」 「あはは」 はしたない。僕は隣に並べて置いてって意味で言ったのに。 ……それにリスじゃ、意味ない。毎日、その……体位、を変えたとしても。

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