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番外編[欲と羞恥③]

『……凛、下も触れよ』 「なんのこと……」 『いや、わからないわけないだろ。喘いでるくせに』 「……寂しい」 『俺も会いたい。だから口押さえてる手、ズボンの中に入れて』 「なにそれ……」 凛は口で否定しつつも、素直に手をズボンの中に入れる。既に勃っている性器に触れる。くちゅりと卑猥な音が鳴った。 『そのまま先擦って』 「……んっ、アゥ……」 『尿道もいじって』 「ひっ……や、んぅ……」 隆司の声に合わせて、パンツの中で凛は手を動かす。目を閉じているので、まるで隆司に直接触れられているようだった。空いた手は変わらず乳首をいじっている。 『イキたくなったら言って』 「イキそう……」 『早いな』 電話の向こうでふっと笑う声が聞こえる。凛の頬がさらに赤くなった。 「たかちゃ、あんっ……なまえ……」 『凛』 「ひぁぅ……」 くちゅくちゅとズボンから音が聞こえる。凛の手の動きが早まる。腰が卑猥に揺れ始める。 「たかちゃ、ほし……」 『凛っ……』 「んっ」 『……好きだよ。……俺も凛にいれたい』 「あっ、だめ……イク、あっ……んぅっ」 凛の体がビクビクと何度かしなる。その波が落ち着いてから、凛はズボンから手を抜いた。その手は白く汚れている。 「……ごめん、たかちゃん」 凛は自分の掌を見つめながらポツリと言う。荒い吐息を吐き出しながら、目を閉じる。 『可愛かったよ』 「……たかちゃん」 『俺、凛が帰省終える頃に行くから』 「えっ、次、おれが行く番……」 『いいんだよ。俺が会いたいから』 大学生になってから、二人は互いの家を数ヶ月スパンで行き来していた。前回は隆司が凛の家に行ったので、次は凛の番だった。 「……いいの?」 『いいの。てか行くから』 「……えへへ」 隆司の強情な声音に凛は声を漏らす。 「好きだよ〜たかちゃん」 『俺も好きだよ。凛』 二人は愛を囁き合う。 これはこれで一つの幸せの形だ。 凛は密やかに微笑んだ。

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