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番外編[颯太だからなんです③]

「や、その……」 「触れるだけで嬉しいんでしょ?俺もそうなんだけどな〜」 「あ、う……」 いじわる。いじわるだ。颯太はいじわる。 ……でも好き。 僕はぎゅっと目を閉じる。それから背伸びをして颯太の唇にそっと自分のものを重ねた。ホッとしてかかとを地面につけようとする。 「んぅっ」 しかし腰をぐいっと引き上げられて、かかとは浮いたままになってしまう。しかも口内には舌が侵入してくる。先程僕がしたキスとは比べ物にならない。 熱い舌が絡まって、じゅるっと吸われれば後ろの方が疼く。歯列をなぞる舌にぞくぞくする。 「んっ……あっ、んんっ」 勝手に吐息が漏れる。気持ちよくて、頭が白濁としてくる。 「……はっ」 僕の頬が紅潮しきった頃に、唇が離される。腰が砕けた僕を颯太が支える。 「キスってこうだよ?」 「……ばかぁ……」 「ごめんね」 満面の笑みで謝られても嬉しくない。僕は涙目で颯太を睨んだ。颯太は目を細めて口を開ける。 「俺も嫉妬するんだよ」 颯太の指先が僕の頬に触れる。僕はびっくりして目を丸くする。 颯太が、嫉妬。嫉妬したから、こんな、キス。 恥ずかしい。けれど嬉しい。嫉妬を形にしてくれることが、嬉しい。颯太だから、だけど。 「……いっぱい、する……」 「すぐ可愛いこと言う」 「ひゃうっ」 颯太がするりとお尻を撫でてきた。すっかり敏感にされた僕の体は、ひくりと震えてしまった。頬を膨らませる。 「すぐ帰ろうね」 「……うん……」 颯太が嬉しそうに言うから、僕も素直に頷く。 何をされても、何を言われても、颯太なら嬉しい。颯太なら、恥ずかしくても、嬉しい。 これが僕の本音。

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