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夜の出会い2
普通に考えたら、不審者。けれど何かに魅せられたかのように見つめ続けてしまう。
その人が淑やかな満月の光を背に受けているせいだろうか。どこか神秘的な雰囲気。
「大丈夫?」
「え、あっ……」
その人がしゃがんで覗き込んでくる。今まで逆光で見えていなかった顔がぼんやりと見えた。
暗闇でも端正な顔立ちということがわかる。年齢はいくつくらいだろう。僕から見れば、とても大人びて見える。
髪色は明るい色のようだ。きっと太陽の下で見たらもっと綺麗だろう。
「びっくりした。いきなり窓から飛び出し……いや、落ちてきたからさ」
「あ、の……」
「立てる?」
「あ、はい……」
見惚れている間に男性は話を進めてしまう。僕の手を掴んで立たせ、当たり前のように家の中に入っていく。
それから一旦僕の手を離して、窓を閉める。
握られていた手を見つめ、僕は意を決して口を開く。
「あの、ど、どちら様……で、すか……」
「俺は……コウ。君は?」
「えっと、わ、渡来亜樹、です……」
「亜樹、ね。ごめん、いきなり。ちょっと休ませてもらってもいい?」
コウさんというらしい男性は、申し訳なさそうな声音でそう言った。
いきなりの申し出に頭は真っ白になる。
「えっと、今、その……僕しかいないので、大丈夫です」
「ありがとう」
しかし気づけばそう言っていた。
きっと困っているのだろうし、悪い人には見えないし。
脳には言い訳めいた言葉が浮かぶ。
そうやって僕が色々考えている間に、コウさんは壁に背を預けて座った。
僕はとりあえず布団の上に座って、その姿を眺める。その光景にかなりの違和感がある。
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