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穴を埋める光1
目をそっと開ける。
気分がすっきりしている。いつも感じるめまいの後の怠さはなかった。
なんでだろう、と考えて、すぐにコウさんが思い浮かぶ。
あれから僕は何回かイッて、コウさんも一回イッて、行為は終わった。汚れた体を動けない僕の代わりに拭いてもらって、それから一緒に眠りについた。
頬が熱くなる。
思い出すと物凄く恥ずかしい。人に肌を見られるのも、触られるのも初めてだった。何よりすごく乱れてしまった気がするし。
だけど人の温もりを感じられて、幸福を抱いたのを覚えている。
今の気持ちは羞恥より、嬉しさが大きいのかもしれない。
自然と顔が綻んだ。
上機嫌のまま体を起こす。そして隣を見た。彼の姿はそこにない。
「……コウさん?」
すっと胸のあたりが冷えていく。
慌てて視線を部屋に巡らせた。狭いからすぐに終わって、見つけたのは一枚の紙だ。手に取ってみる。
『昨晩は急な来訪にも関わらず、休ませてくれてありがとう。本当はすぐに事情説明をするべきだけど、時間がないので一旦出て行きます。また今夜行くので、説明はその時に。コウ』
丁寧な字でそう書いてあった。
不思議な人だ。
文字だけではない。口調も所作も丁寧で、育ちがいいように見えるのに、あんな夜中に出歩いている。それに昨日は切羽詰まった状況のようだった。まるで何かに追われているかのように。
そこまで考えて軽く頭を振る。
今あれこれ考えても意味はない。詮索はいいことではないし、今夜説明があるだろうから。
そう、今夜。
今夜、また来てくれる。
その事実は僕にとってキラキラと輝くもののようで、嬉しさが胸に溢れかえった。
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