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穴を埋める光3
軽く朝食を食べた後、自室に戻ってテキストを開いた。
今年度初の定期テストまで三週間を切ってしまっている。
特待生になれば公立よりも学費が安いからと、私立高校に通っている。だから成績を落とすわけにはいかないのだ。
気合いを入れて勉強しなければならない。
……ならない、けれど。
どうにも集中できない。
最初は問題文を目が追っていても、気づけば今日の夜のことを考えてしまう。そうかと思えば、今度はそわそわと書き置きの入ったファイルを見たり、窓の方を見たり。
そんなことしたって夜中はまだまだ来ないというのに。
自分でもはっきりとわかるほど、うかれている。めまいに苦しめられる夜中、大嫌いだった夜中を、待ちわびる自分がいる。
何故だろう。
どちらかといえば人と関わるのは苦手、いや、不得意な部類だ。
それなのにコウさんはあっさり受け入れてしまっている。どう考えても異様な出会い方をしたにもかかわらず、だ。
それは彼の雰囲気や口調からなのかもしれない。はたまた全く別の理由か。
ただコウさんは悪い人ではないと、そう思えてならなかった。
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