27 / 961
穢れた僕と6
CE、古典、英表、現文と、英語と国語だらけの午前中を終え、昼休みになった。
夕飯の残りを簡単に詰めただけのお弁当を取り出す。コンビニや購買で毎日買うほどの金銭的余裕はないが、かといって丁寧に作る時間もない。だからいつも残り物の弁当だ。
自分用だから適当でいいかという気持ちもある。
「渡来〜、生徒会長が呼んでる」
「……っ」
弁当に伸びかけていた手を止める。
来た。
覚悟は、していた。
昨日逃げてしまったのに、あの人が何もしてこないなんてありえない。
最初は勉強を口実に図書室に逃げようかと思ったけど、そうしたら後々きついのが目に見えていた。
震える足に力を込めて、立ち上がる。
目線だけであの人を見れば、彼は綺麗な微笑みと共に、教室の入り口に立っている。どこからどう見ても悪い人には見えない。本当に外面は良い人だ。
だけど僕には恐怖の対象でしかない。
心臓が締め付けられるような気分だ。苦しくて、口からは酸素が入ってこないような気さえして。
それでも自分を奮い立たせて教室の入り口へ向かう。
「亜樹、君に頼み事がある。一緒に来てくれるな?」
そうして辿り着いた彼の元で、悪魔のような言葉が落とされる。
ともだちにシェアしよう!