止まっていた手を再開する。 「……っ、あ……」 「もっと強く」 「あ、あぅ……んっ、やっ、くるっ……し……」 言われた通りに強く擦れば、気持ちいいを通り越した強い快感が降り注ぐ。快感であることは確かなのに、溜まっていく熱を吐き出せなければ、それは凶器でしかない。 だがもっとはやくと言われればはやく擦るし、脚が閉じていると言われれば大きく開くし、前かがみになるなと言われれば懸命に胸をそらした。 恥も尊厳もとうに失っている。そうでもしなければ僕はこの人の存在する世界で生きていけない。 「あぁ、だめっ……やっ……んんぁ……」 「止めろ」 脳が言葉を理解する前に手を止める。 やっと、止まった。痛い快感が、止まった。 快楽に溺れきった脳はぼんやりとそう考えるだけ。 虚ろな瞳で彼を見ると、組んでいた脚を戻し、椅子に座りなおしている。深く座して肘掛に手を置き、僕に見せつけるように脚を開く。 今、僕の手は、汚れている。 膨らみを見て、そう思った。机から降りる。 ズボンに顔を近づけ、ジッパーを歯で掴む。ジジジッと音を鳴らしながら、チャックが開いていった。 開いたズボンの隙間から見える下着も歯で下ろす。そうすればすっかり硬くなった彼自身が勢いよく出てきた。 ぺちっと顔に当たるそれに、もはや何も感じない。 大きく口を開けて、含む。性器特有の苦味が口に広がる。 「んむっ……ん、んぅッ……」 何回この行為をやらされたかわからない。だからこの人のいいところはよく知ってる。 自分自身も擦り続けながら、右手は彼のを握る。舌では裏筋を辿り、亀頭を舐め、尿道口を抉るように舌を動かす。