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穢れた僕と15

「……えっと、座って待ってて」 ついてきたコウにそう言ってキッチンに入る。 何を作ろう。コウは洋食と和食、どちらが好みなんだろうか。 ちらとテーブルに座るコウに目を向ける。 綺麗な茶髪に、スッと通った高い鼻、榛色の瞳。 よし、洋食にしよう。 安直な判断だと我ながら思うが迷うよりはいいだろう。 食パンを二枚、トースターに入れる。それから冷蔵庫を開けて卵を取り出した。 いつもならこれで終わりだが、さすがに客人に対しては粗末だろうか。でも豪華にできるほどの余裕はない。 試しに冷蔵庫の下の段を開けてみる。 「……あ」 たまたま一つ残っていたリンゴ。 それも手に取って、調理台に向かう。 卵はスクランブルエッグにして、トーストにはバターを塗り、リンゴは切って。 出来上がった朝食をダイニングへ持っていく。 「……」 はい、か、どうぞ、かそれとも何も言わない方がいいのか迷って、結局は何も言わずにコウの前に置いた。 自分の席にも皿を置いて椅子に座る。 「うさぎだ」 コウがうさぎ型に切ったリンゴを見て微笑む。 動物といった可愛いものは嫌いじゃない。寧ろ好きな方だ。 だからついうさぎ型に切ってしまったけど、コウは引いただろうか。男のくせにって。 「可愛いね。手先が器用なんだ」 「あ……、ありがと」 予想とは裏腹にコウは引いた様子など微塵も見せない。楽しそうにリンゴを見てから、いただきますと言って食べ始めた。 「ん、美味しい」 その返答に安心してから、僕も食べ始めた。

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