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激動2
僕の大声に驚くクラスメイトの間を縫っていく。
もつれそうな脚を懸命に動かして廊下に出て、既に少し遠くなった彼の背を追う。
「わっ……」
夢中でコウの背中だけを見ていたら、誰かにぶつかってしまう。
その人物を確認すると、彼。
だけど僕は失態を犯す。興奮した頭は、謝るより先に、彼の後ろのコウを追ってしまった。彼も僕の視線を追って、背後に顔を向ける。
コウはちょうど廊下を曲がるところだった。
その姿を見届けたあと、頭上から舌打ちが聞こえた。
その音で僕はやっと我に帰る。
「あ、の……、ご、ごめんなさ……」
「なるほど。亜樹は人にぶつかっても、謝るより先にすることがあるのか」
「や、ち、その、ごめんなさい」
今さら自分のしてしまったことに物凄く後悔する。だけど時を巻き戻すことなどできはしない。
唇を噛みながら彼を見上げると、綺麗に微笑んでいた。その笑みに悪寒が走る。
「来い」
「いたっ……」
しかしその笑顔はスッと消えて、無表情になった彼が僕の手を強く掴む。かなり痛い。しかし緩めることはせず、無理やり僕を引っ張りだした。
見るからに怒りが伝わってくる。こんなに怒っているのは初めてで、これから起こることが怖くて仕方ない。
どうして今日はこんなに怒っているのだろう。僕のしたことに彼が怒るのは当然だが、今までの経験に照らし合わせると、ここまで怒るほどの行動ではなかったはず。それとも別の理由があるのだろうか。
彼の逆鱗に触れたのが何なのかわからず、どうすればいいのかわからない。
とにかくこの先起こることがいつも以上に酷いことはわかる。
だからすごく、怖い。逃げたい、消えたい。
強く掴まれた手首を見ながら、ただ引っ張られる。このまま生徒会室になんて着かなければいいのに。
そう思っても僕と彼の足が止まるわけもない。
「あれ、会長じゃないか」
「ああ。おはようございます。松田先生」
……救世主だ。
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