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崩壊と萌芽2
だが幸いだったのはめまいが酷くならなかったこと。前みたいに脳は冴え、非回転性が多くなったのだ。
そのため毎日、感覚が麻痺したかのように過ごした。
学校は行くし、授業も受ける。普段と変わらない。しかしどこか自分が遠い。やはりこれは僕の防衛反応なのかもしれない。
もちろん今日も空っぽな自分のまま登校した。
四時間授業を受けて、昼休みになった。図書室にでも勉強に行こうと、教室を出る。
靄がかかっているような、景色が遠いような。ふわふわした足取りで廊下を進んで行く。
前方に人が見えたので脇に避ける。少し俯いているからその人の顔は見えないが、関係ない。
そのまま通り過ぎると、
「亜樹」
聞き慣れた声が聞こえた。
その声を聞いても、もはや何も感じなかった。恐怖はどこかに落としてしまったらしい。
素直に振り返って、彼を見る。
今日は何をされるかな。怒らせてはいないから、いつもと同じか。それとも、もう一線を超えたのだから、この前のように犯されるか。
別にどっちでもいい。
所詮、僕は誰かに遊ばれる身だ。意味のない、一人ぼっちの寂しい器。
なら何をされてもいい。どうでもいい。
「何があった」
「……?」
だが今日の彼はおかしかった。
無理やり引っ張られるわけでも、来いと命令されるわけでもない。言葉が理解できずに固まっていると、彼は溜め息をついた。
「いや、いい。図書室か? なら早く行くんだ」
「……はい」
言葉を吐き捨てて去って行く彼の背を見つめた。
どういう風の吹き回しだろう。考えても埒があかない。そもそも、どうでもいい。
彼の言葉通り、僕はそのまま図書室へ向かった。
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