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崩壊と萌芽8
「何度も迷って、最終的にこんなことで終わりたくないって思った。亜樹が俺をどう思おうと、男同士だろうと関係ない。想いを伝える前に、諦めたくなかった。それくらい、好きなんだ。遅くなって、ごめん」
コウはそう言葉を終える。
唇が震えて、眦が熱くなる。嬉しくて、申し訳なくて、涙がまた溢れ出そう。
でも、まだ、泣いちゃだめ。
僕だってコウが来ない期間、すごく悩んで、辛くて、結局は心を閉ざすっていう逃げに走った。
コウも僕と同じように色々考えて、散々悩んで、辛かったに決まっている。それなのに僕と違って踏み出す決断をした。
それは強くなければ、できないこと。
でも僕はコウに酷いことを言ってしまった。勇気を持って告げに来てくれたのに、『遊び』なんて言葉を吐いてしまった。
罪悪感が吹き出して止まらない。だけどそれで立ち止まったら僕は変われないままなんだ。それじゃ、だめだ。
誠意には誠意で返す。こんなに頑張ってくれた人に、僕もちゃんと伝えるべきだ。
「……そう、た……」
「……亜樹……?」
「……って呼んでも、いい……?」
「……いい、けど……」
きつい抱擁から顔を上げて、コウ……颯太を見つめた。彼は珍しく困惑した表情。
酷いこと言ってごめんとか、悩ませてごめんとか、僕もずっと楽しかったとか、いっぱい言いたいことはある。だがそんなの一言で伝わる。
喋るのが下手なのだから、シンプルに、率直に、告げればいいんだ。
勇気を出せ、僕。
一歩踏み出せ、僕。
腕を伸ばして颯太の背に手を回す。颯太の綺麗な瞳を見つめながら、軽く息を吸う。
そして僕の口から、
「颯太が、好き」
素直な言葉が出る。
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