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崩壊と萌芽20
「ん、あ……」
「挿入った……」
颯太のが奥まで届いたのがわかる。熱いのが僕の中にある。
やっと、繋がれた。
ふっと、初めて出会った日のことや颯太とのくだらない会話や、色々な思い出が頭を巡る。
辛かった。出会ったことを後悔しそうにもなった。でも、今こうして想いあえて。愛して、愛されているのがよくわかって。
だめ。
そう思ったのに、止める間もなく涙は零れた。
「亜樹……俺も、嬉しい」
颯太が笑んで、僕の目元に口を寄せる。優しく涙を拭い取ってくれる。
その唇はすぐに僕のそれに触れる。もはや舌が触れ合うのは当たり前だった。
全身で繋がれて次から次へと涙は流れる。
嬉しい。嬉しい。本当に嬉しい。ごめんなさい。
颯太は知らない。
僕の涙は嬉しさだけではないってこと。
それを思うと余計に涙は止まらない。
「動くよ」
「あっ……あぁ、ん……」
颯太は嬉しそうに微笑んで、腰を緩く動かし始める。
優しさが嬉しくて、痛い。訳がわからなくなるほどに動いていい。快感を与えて欲しい。今だけで、いいから。何もかも、かき消して。
「あっあっ……ひぁっ……アッ」
「亜樹……」
キスをして、中で熱が動く。
時々、中の膨らみを性器の先が掠める。浅いところも奥も膨らみもとにかく気持ちよくて、素直に僕の中は颯太を締め付けた。
「んぁっ、あぁ……あぅ、んんっ……」
颯太の腰の速さが徐々に早まってくる。キスも深くなって、お互いに最後が近いのだと気づく。
「亜樹……」
「いっしょ、に……」
「うん。一緒に」
「あ、ぁあ、颯太……んぅっ」
一番深いところ。そこに、颯太のが届く。
僕は颯太の腰に脚を巻きつけて離すまいとする。
ぐりっと奥を抉られれば目の前が白む。
あ、イク。
「ひゃあ、ぁあっ」
「……っ」
僕が達したことによる締め付けで颯太のものも脈打つ。どくどくと奥の方へ注がれる。
快感に満たされた脳。そこに最後に浮かんだ思いは、幸せ。そのことが、さらに僕を幸せにした。
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