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初めてのデート1

鏡の前に立って自分の姿を確認する。これなら見られても平気と一人頷いた。 滅多に出かけないから服など殆ど持っていなくて、昨夜から悩みに悩んでやっとまともなものになったのだ。 前に夜ふかしはだめだと颯太に言われたからちゃんと寝るには寝た。しかし今日は夜中に起きる代わりにかなり早起きをしてしまって、七時半の今までずっと服選びをしていた。 颯太に泊まりの提案をされたけど断っておいてよかった。心の準備だって必要だし。 今にも跳ねそうな軽やかな気分でダイニングに出る。 朝ごはんはトースト一枚で手早く済まし、今度は洗面所の鏡で身なりをしっかり確認した。 浮ついた気持ちで洗面所を出る。そして時計を確認した。 待ち合わせ時間は九時。今は八時半。あと少し。 颯太が迎えにきてくれるらしいから僕は家にいればいい。 でもどうしてもそわそわしてしまって、結局玄関で待つことにした。 玄関に体育座りをしてドアを見上げた。 デートのことを思い浮かべていると楽しくて、すぐに時間は経っていった。 時計が近くにないからよくわからないけれど、そろそろ颯太が来る頃かもしれない。 わくわくした僕は思わず呟く。 「……颯太、まだかな」 「もういるよ」 「ひゃっ!」 すると急に耳元に声が吹き込まれた。 振り返るとそこには、大好きな人。 「な、なんで……?」 「窓から入ってきて欲しいって言ってたから」 「あぁ、そっか……そうだ……」 だいぶ前にそう言った気がする。 颯太と出会った場所。雰囲気。イメージ。そのようなものを壊したくなかったんだと思う。 自分で言ったくせに玄関で待っているなんてお笑い種だ。 「ごめんね……」 「いいよ。亜樹の驚く様子が見れたし」 「……もう」 唇を尖らせると颯太は笑いながら頭を撫でる。 これで僕の機嫌はすぐ直ってしまうんだから単純すぎる。 「さあ、行こう」 「うん……!」 颯太が僕の手を取って玄関を出ていく。僕は明るみの中へと一歩連れ出された。

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