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初めてのデート3

ゲームセンター内に一歩踏み出すと、騒音が一気に押し寄せてきた。 鼓動のように何度も打たれる低音や、何かのキャラクターの甲高い声や、他にも様々な音がする。街中も十分うるさかったのにここは桁違いだ。 「亜樹は初めて?」 圧倒されている僕に声をかけてから、颯太は歩き始める。 「うん」 「俺も前は一回も来たことがなかったんだよ。そもそも存在を知らなかった」 「そうなの……! 意外! 真面目だったんだね」 「真面目……、うーん、まあ、そうなのかもしれない」 僕の驚きに颯太は曖昧に微笑んだ。 そこでちょうどクレーンゲームの前につく。 颯太が選んだのは景品がリスのぬいぐるみのものだ。赤や緑、青や黄などカラフルなリスがゲーム内いっぱいに詰まっている。手のひらサイズで丸々とデザインされた見た目が可愛い。 颯太は一回分のお金を入れてクレーンゲームに向かった。 「リスを見ると亜樹を思い出すんだよね」 ぽつりと呟いて颯太の指がボタンに重なる。 アームが奥へ向かい、迷うことなく右へ曲がる。また奥へ向かって、ちょっと左、少し手前に戻して。 颯太の瞳はボタンには目もくれずアームだけを追っている。真剣な眼差しでアームを進めたあと、最後に真ん中のボタンを押した。 アームがゆっくり降りていき、リスの海に先端が沈む。持ち上がるとその中に黄色のリスが閉じ込められていた。ゆらゆら不安定に揺れながらも落下することなくダクトの上に行き、落ちる。 受け取り口に突っ込んだ手を颯太が出すと、その中には黄色のリス。 「すごい! あっという間だった! 上手なんだね!」 「バイトの先輩に付き合わされているうちにコツ掴んだんだ」 賞賛の眼差しを向けながら次々言葉を吐き出した僕。颯太はその手をとって、掌の上にリスを乗せた。 「はい。亜樹にあげる」 「えっ、あ、でも……前も貰ったのに……」 「じゃあ二匹合わせて可愛がってあげて」 「う、うん……」 颯太に何か返す前に、次々と貰ってしまっている気がする。でも僕とリスを見てにこにこ笑う颯太を見ると何も言えない。 「あ、でも」

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