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初めてのデート6
颯太が連れてきてくれたのは、オムライスを中心としたメニューの店だった。ファミレスやファストフード店よりも落ち着いた雰囲気だ。
今の僕にはとてもありがたい。というより颯太はそれを考慮して選んでくれたのだと思う。
僕は明太子マヨネーズのオムライス、颯太はクリームソースのオムライスを頼んだ。
少し経って運ばれてきたオムライス。丸く盛られた明太子と、格子状にかかったマヨネーズ。
オムライスなんて家で作るとしたらスタンダードなケチャップの一通りしかないから見るだけで楽しい。
いただきますと言って一口食べた。
「……! 美味しい!」
綺麗に包まれた見た目もとても綺麗だし、明太子に合うように中のライスもケチャップライスではない。
「でしょ。お店じゃないと食べられないって感じの味だよね」
「うん。家じゃこんなに美味しいの作れない」
「んー、亜樹の手料理も十分美味しいよ?」
「……朝ごはんしか、食べたことない……」
「朝ごはんが美味しいなら昼食も夕食も美味しいよ、絶対」
これは世辞なのか、本当に褒めているのか、朝食以外を作って欲しいと求めているのか。
料理は人より慣れている方だと思う。昔から自分でご飯を作っていたし、試行錯誤をしている時は楽しいから、料理が好きでもあろう。
それに加えて誰かのために作ると思えば、なおさら楽しいはず。だから颯太に作るのは大歓迎というか、寧ろ作りたいけど、判断がつかない。
でも、わざわざ手料理に話を広げたということは後者の可能性が高い気がする。
少しくらい勇気を、出してみよう。
唇を薄く開けて、息を吸う。
「……じゃあ今度、作る。……颯太のために」
「ほんと? やった! 嬉しい」
声が震えているのがバレていたら恥ずかしい。でも颯太が本当に嬉しそうな表情をするから、僕も嬉しくなってくる。
そうしてちょこちょこお喋りをしながらゆっくり食べ進めた。
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