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恋の閑話2

どれくらい経っただろう。うとうとしていたところ、窓をノックする音が聞こえた。 ばっと顔を上げ、急いで窓まで行く。 不安の原因は颯太なのに、助けを求めるのも颯太だ。 「颯太っ……」 窓を開ける。颯太の驚いた顔が目に入る。 「どうしたの?」 「……あのね、初恋は実らないって、言葉を、知って……」 「あー、うん。なんとなくわかった」 颯太は一回頷くと靴を脱いで部屋に踏み入れた。敷いてあった布団の上に座る。 「おいで」 広げられた腕に僕は飛び込んだ。ぎゅっとしがみついて颯太の首筋に顔を埋める。温かくて颯太の匂いに包まれて、安心する。 颯太も僕を抱きしめ返してくれて、背中をさすってくれた。 「好きだって伝えてるつもりなんだけど、足りない……?」 「違う……!」 颯太が悲しそうな声を出すから慌てて否定する。 「……違うの。颯太が、僕を好きだってことはわかる……けどね、それがいつまで続くのかって考えたら……怖くなって……」 「そっちにいっちゃったかぁ……。でもさ、俺たちの想いは強くて大きいと思わない?」 「どうして……?」 颯太が体を少し離して僕を見る。僕はきょとんと目の前の愛しい人を見つめた。 「初恋は実らないって説を二人分も覆したんだから」 「……え?」 自分の耳を一瞬疑う。 「だって亜樹は初恋なんでしょ?」 「そうだけど、そうじゃなくて……。二人分って……」 「ん? 俺も亜樹が初恋だよ」 いたって当然のことみたいな調子で言われた言葉。目を見開いて颯太を見つめる。 「えっ、だって颯太……えっ?」 「そんなに意外?」 「うん」 苦笑する颯太に勢いよく頷く。

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