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不穏の気2
校門に近づくともう周りは制服姿の人だけになる。
幸い颯太の顔を知っている人は殆どいない。1日で年の時に颯太と同じクラスだった今の三年生と、僕らのクラスメイトくらいだ。
だから注目を浴びるなんてことはなかった。ごく自然に人の波に紛れることができる。
もしここが男子校でなければ違う意味で注目されていたかもしれない。そしたら僕が嫌だから、それもなくてよかった。
なんてくだらないことを考えながら、校舎内に入る。颯太と談笑しているとあっという間に教室まで辿り着いた。
この瞬間はいつも緊張する。扉の向こうではクラスの人たちの声が漏れ聞こえる。
その音を裂くように颯太がドアを開けた。
途端、しんっと静まる教室内。その中を僕らは進む。
颯太の登校初日もそうだった。颯太に注目してざわつくのではなく、声が一瞬でやむ。そして僕らが席に着くまでじっと視線を注ぐんだ。
まあでも仕方ないことだ。
不良と言われる人に注目しないことの方が無理というもの。
だけどやっぱり目線が集まるのは苦手だ。たとえ僕に注がれているものではないとしても。
気まずく思いながらやっと席に辿り着く。
「亜樹、ちょっと職員室行ってくる」
「行ってらっしゃい」
リュックを置くと座る間もなく颯太が告げる。ちょっと寂しいけど手を振った。
一人で席についてふぅっと息を吐く。
と、その時気づく。
教室の声が止まったままだ。恐る恐る顔を上げると、机の真ん前に人。
「……っ」
全く気配がなくて息を飲んでしまう。
目の前にいる人はクラスのまとめ役的な存在、清水蓮くん。怒っているような表情だ。
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