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対立5
颯太の真意に気づいた僕は叫ぶ。だけど颯太は止まらない。
そのまま教室を出てしまう。僕は慌てて追いかける。
「渡来!!」
今度はそれを清水くんが止めた。
「今ついていったらあいつの味方ってことになるぞ。あんな乱暴な不良の」
その言い方にカチンときて、僕は振り返ってみんなを睨め付けた。
クラスで居場所がなくなるとか、相手にどう思われるかとか、そんな不安は微塵も浮かばない。
「颯太はそんな人じゃない!」
僕は怒鳴りつけると教室を飛び出した。
もう既に颯太は廊下の角を曲がろうとしている。
「颯太! 待って!」
僕が叫んでも颯太は止まろうとしない。
必死に追いかけて、腕を掴んで引き留める。
「颯太! さっきの……」
「うるさい」
だけどその手は、乱暴に振り払われてしまった。
「俺に話しかけるな。近寄るんじゃねぇ」
「そうた……」
驚くほど冷たい目で僕を睨むと、颯太は歩き去ってしまう。
僕は呆然とその後ろ姿を見つめた。
僕の勘違い、だったのだろうか。
あの一瞬は本当にたまたまで、颯太の本音はあれで。
そんなはずはない。そんなはずはないけど、なら今の行動はどう説明すればいい。
教室の外では演技する必要なんてない。
故に颯太の行動の真意が掴めない。
「わかんない……わかんないよ、颯太……」
くしゃっと顔が歪む。どうしようもなくて、両手で顔を覆った。
もうあの優しさは注いでもらえない。
それだけが確かなような気がして、辛い。
「ーー亜樹」
するとタイミングが悪いことに、あの人の、声。
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