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素直な気持ちを2
「どうして言ってくれなかったの」
穢い僕を颯太は抱き寄せて、幾分柔らかくなった声を出す。
「穢いって……軽蔑されるって、嫌われるって……思った……から……。ぼく……きたない……だから……そうた……だから…………」
嗚咽でうまく喋れない僕を颯太は宥めるように撫でてくれる。
「大丈夫。大丈夫。俺は亜樹を穢いなんて思わない。亜樹は綺麗だよ。大丈夫」
「そ……た……」
颯太はゆっくり、ゆっくり、言葉を落とす。
土に水が沁みていくように、言葉は僕の心に広がっていった。
「あの人より先に出会っていれば、とは思うけどね」
「ごめん……なさい……」
颯太の言葉は本当だと思う。颯太は嘘をつかないから。
でも颯太を傷つけたのも確かだ。だから僕は謝ることしかできない。これならずっと一人で耐えている方がましだった。
「ね、亜樹。亜樹はさ、俺が一人で苦しんでいたら、どうしてほしい?」
颯太は体を離して、僕の顔を覗き込む。綺麗な榛色の瞳を、涙に濡れた目で見つめた。
「……どんなことでも、いいから……話してほしい。一緒に苦しみたい……。僕にも半分、背負わせてほしい……」
「つまりは、そういうことだよ」
コツン。
触れ合う額。
優しく微笑む颯太にまた涙が零れる。
僕は颯太の事となると、とことん不能になってしまうみたいだ。こんな簡単なことに気づけもしないなんて。
ごめんなさいってまた謝ろうとした口を閉じる。いつだったか、こういう時は、謝罪よりお礼がいいって言われた。
「……颯太、ありがとう。助けにきてくれて、嬉しかった……」
「どういたしまして」
それは嬉しそうに笑う颯太に抱きついた。その胸に顔を埋めて、僕はしばらく泣いていた。
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