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素直な気持ちを11
「颯太……?」
きょとんと颯太を見つめると、そのまま持ち上げられた。軽々と僕の体を持ち上げられ、視界が一気に上がる。
落ちるのが怖くて咄嗟に颯太の体に手を回す。
でも、でも、これは。
「そ、颯太……いいよ、自分で歩ける」
「俺がしたいからいいの」
「恥ずかしい……」
お姫様抱っこ。
不意打ちなんてずるい。易々と持ち上げるのも、ずるい。
だって凄くかっこいいから。
ずるい。こんなかっこいいなんて、ますます好きになってしまう。
颯太は僕を抱いてお風呂へ向かう。器用にドアを開けて、すぐに浴室へと辿り着いた。狭いその中は男二人が入ると窮屈だ。
「亜樹、壁に手ついて」
「や、やだ……そんなかっこ……」
「中の掻き出すから、ね?」
「う……うん」
想像してみたら凄く恥ずかしい格好だ。でも困ったように颯太に見つめられて、お願いされれば従うしかない。
それに中に性液を入れたままだと、お腹を壊すと聞いた。
そろそろと壁に手をついて、颯太がやりやすいように腰を突き出す。すぐに颯太の指が中に入ってきた。
「んっ……」
前立腺や僕の弱いところを避けて颯太は中のを出していく。くちゅくちゅと下から音が鳴っている。
その音と、中の指と、それからきっとまだ残る興奮。
それらが僕をまた昂ぶらせていく。
「んっんっ……颯太……」
「こーら。亜樹、だめだよ」
自分から颯太の指が気持ちいいところに当たるよう動いてしまう。颯太が抜こうとするのを僕は追って、また擦り付ける。
気持ちよくて、でも恥ずかしくて、でも我慢できなくて。
うるうると瞳を濡らしながら、ちらりと後ろを振り返る。
「颯太、お願い……挿れて……?」
「……まさか亜樹にそんなこと言われる日が来るとは……」
「そうたぁ……」
快感はすぐに僕をおかしくする。
でも今日のは快感だけではなくて、仲直りできたことへの安心とか喜びとか甘えも含まれていると思う。
とにかく颯太を感じたい。素直に言葉を零したい。
「……どうなっても知らないよ」
「あっ……あ……」
背後から颯太の手が伸びてきて、壁についた僕の手を上から握る。
今のやりとりで颯太のも勃ってしまったようで、すんなり僕の中に入ってきた。
そうして結局、お風呂でも愛を確かめ合ってしまったのだった。
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