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素直な気持ちを12

「……腰、痛い」 「亜樹が強請るから」 「い、言わないで……」 「まあ俺も酷くしちゃったかな。嫉妬したし」 「嫉妬……?」 「だって俺以外の人が亜樹に触れたんだよ?」 「…………好き」 「……!? なんで今、そういうこと言うかなぁ」 「嫉妬……嬉しいなって……」 「……なんか亜樹、変わったね」 そう会話をしながら、二人で登校した。 結局、昨日はお風呂で一回やって、また部屋に戻って一回やってしまった。おかげで僕の腰はボロボロ。 でも昨日は確かに僕が求めてしまったっていうのも……あるから……。 思い出すだけでも恥ずかしい。なぜあんなことを言えたんだろう。記憶が鮮明なのがより辛い。 幸い今日は移動教室もなくて、何かあれば颯太が助けてくれたし、おかげで無事に午前中を終えることができた。 前みたいに机をくっつけて、お弁当を広げた。また二人で食べられるんだ。 そうやって嬉しく思っていたら、目の前に一つ、お弁当が追加される。 顔を上げるとその主は清水くんで。 「……俺も混ぜろよ」 ちょっと照れくさそうな顔をする。 僕は颯太を見る。颯太はただ笑っているだけ。僕はまた清水くんを見る。 「……一緒に、食べよう」 なんだか僕も照れくさくって、ふわりと笑みが零れた。すると清水くんは少し頬を染めて、やっぱり笑ってくれた。 颯太と僕と清水くんと。 お喋りをしながら昼食を取った。クラスの視線も冷たさはもう微塵もない。 あの一件があったとは思えないほど、すぐに僕らはクラスに打ち解けていった。僕もあの事件のおかげで、人に対して臆すことが減った気がする。 颯太と出会って、夜に会うようになって、颯太が来なくなって、両想いになって、クラスと対立して、会長との件が解決して、クラスのみんなとも和解して。 色々あったけれど、全ては丸く収まった。 毎日、毎日、穏やかだ。 こんな穏やかな日々を過ごせると思っていなかった。颯太と一緒ならどんな時も幸せだけど、平穏な日々はすごく、嬉しい。 だから思ってもみなかった。 颯太が、いなくなるなんて。 颯太は初夏の空気が漂い始めた七月上旬、 ーー失踪した。

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