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自由に向かって15
「亜樹も入ってきなよ」
「う、うん!」
颯太がベットに腰掛けるのと入れ替わりに立ち上がる。ばね仕掛けのように勢いがついてしまった。
どうしよう。ドキドキしてるのがバレてしまう。
恥ずかしすぎて僕はお風呂に駆け込んだ。脱衣所にはもう一つのバスローブが置いてある。
僕もこれ……着るんだよね……
正直着替えたい気持ちはあった。だから出たら着るぞ、と腹をくくる。
浴室に入る。中はやけに広くて、明るい。どうぞ愛し合ってくださいと言っている感じ。
あまり周りを見ないようにして頭や体を洗った。こんな場所だけど久しぶりのお風呂は気持ちよかった。
時間をかけて風呂に入り、僕もちゃんとバスローブを着る。ちょっと緊張しながら部屋を出た。
颯太はカーテンを開け放った窓を背にベッドに座っていた。月明かりが煌々と颯太を照らしている。
「おかえり、亜樹」
「ただいま」
僕はまたギシッと音を鳴らして隣に座る。
そのまま僕たちは話すでもなく、寝るでもなく、座ったままでいた。
心臓はトクトクと早まっていく。
隣の颯太は風呂上がりのせいかどこか色っぽくて。そうでなくても最近ずっと触れ合っていないから、シたいなぁって思ってしまう。
こんな時に、何を考えているのだろう。颯太にその気はないのに……。
「亜樹」
「……ん?」
急に呼ばれて心臓が跳ねる。颯太は僕を見つめて、笑っていた。
「言いたいことがあるなら、言ってごらん」
ずくんっと体が疼く。
目の前の颯太の瞳は強い炎を宿していた。僕を愛したい、体をまじわしたい、そう言っている。
どうやら我慢していたのは、僕だけじゃないみたい。でも颯太は、僕に言わせようとする。
……ずるい。そうやって僕にばかり、恥ずかしい思いをさせる。
でも、それ以上に僕は。
「…………颯太、シたい……」
蚊の鳴くような声で、言った。
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