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自由に向かって18
「ひゃっ……ンァっ、あっ」
部屋の中には僕の喘ぎ声と水音が響く。
月の光が差し込む部屋で淫らな交わりをする。静謐な夜にこんなことを。背徳感のような感情がさらなる興奮材料になった。
「んぅっ……あっ、ひぁ……!」
指は二本、三本と順調に増えていく。
奥と前立腺を別々に擦られるともうたまらない。だけど徐々にじくじくとした疼きも出てきた。
やっぱり、足りないんだ。
颯太のが、欲しい。直接熱を、感じたい。
「そうたぁ……」
「ん。わかってる」
颯太が胸から口を離す。両乳首はピンッと己を主張していて、颯太の唾液で艶かしく光っていた。
……恥ずかしい。
思わず視線を上げると目の前に颯太がいた。孔にはぴとりと熱いものがあてがわれる。
僕が目を閉じると、キス。同時にズッと一際大きいのが入りこんできた。
「んっ……はっ、んむっ」
痛みはない。ただただ熱が心地いい。
うっとりと深く口付けて、その間にどんどん奥に迫る颯太。
ああ、幸せだ。
しみじみそう思う。今がどんな状況でも、こうして触れ合えている。一度は離れそうになったのに、またこうして。
それだけでとてつもなく幸せ。この世にこれ以上の幸せはないんじゃってくらい。
「ふぅ……」
「挿入った?」
「うん」
奥までピタリと颯太のが馴染んでいる。僕の中はきゅうっと颯太のを締め付けていた。
不意に、涙が落ちる。
「亜樹……」
「あっ、ごめん。なんか、幸せで」
「なんで謝るの」
「わかんない……」
幸せな時に落ちる涙。颯太に出会って、初めて知った。
慌てて拭おうとする手を颯太が止めた。柔らかく微笑んで涙を吸い取ってくれる。
もうこのまま二人で溶け合ってしまえたら。そしたら離れ離れを恐れずに済むのに。
一瞬よぎった儚い思いに気づいたのかはわからない。でも颯太はやっぱり微笑んで僕を包み込んでくれる。
その日颯太は、とても優しく僕を抱いてくれた。
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