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一緒の未来12
玄関の閉まる音を聞いて、溜めていた息を一気に吐き出す。
「緊張した……」
「素敵なお母さんでよかったよ」
「うん。僕もそう思う」
目を合わせて微笑みあう。
榛色の瞳や明るい髪色、整った顔立ちが新鮮に思えた。
そして改めて好きだなぁって気持ちが溢れてくる。素直にそう思える環境が、とても嬉しい。
「移動しよっか」
「うん」
僕と颯太は僕の部屋に移動した。
「久しぶりだな。自分の部屋」
ぐるりと中を見回す。
少し埃っぽいような気もするけど、他は何も変わっていない。
勉強机まで行ってスマホのリスと、黄色いリスを確かめた。
ちゃんといる。傷も汚れもない。安心。
逃げる際に余裕はなかったけど、このリス達を失うというのは今思えばかなりきつい。すごく大事なものだ。
「それ大切にしてくれてるんだね」
「うん。大好きなリス達だよ」
漏れる笑みを隠すこともせず、黄色のリスに頬ずりをする。ふわふわの感触が気持ちいい。
だから僕は影が忍び寄っていることに気づかなかった。
ぐいっといきなり肩を引かれる。
「わっ……ん!?」
気づけば颯太が僕にキスの雨を降らせてくる。
いつスイッチを押したのだろう。何が颯太をこうさせたのだろうか。
「ちょっ、颯太……だめだよ」
ぷはっと息を吐き出して、颯太を押し返す。
「俺を一番可愛がるって約束でしょ?」
「や、でもまだ明るいし……」
しまった、それか、って頭の中で声が飛ぶ。
リスが大事だからそうしただけなのだけど、確かに颯太からしたら自分が放って置かれているように感じられたかもしれない。
……というかこれは、妬いてくれたということになるんだろうか。人形相手に。
颯太って、大人なだけではないんだな。そういうところも大好き。
「やっと一段落ついたんだし」
「まだ清水くんにお礼してないよ」
「他の男の名前出さない」
「だって……んっ、んぅ……」
また唇がくっついて、無理やり颯太の胸の中に入れられる。そしてそのまま布団の元へ連れていかれた。
すぐに押し倒されて、互いの息が混ざり合う。
「本当に、だめ?」
「……わかってる、くせに。というか、もう今更だよ」
もう体は熱くなっている。
甘えるように僕を見る颯太に自分からキスをした。
嬉しさや空気に流されて、結局明るいうちから愛し合ってしまう。罪悪感や羞恥に僕が苦しむのはもっと後のこと。
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