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一緒の未来14

そうやって颯太をいじめるように話していた清水くんだけど、最後にポロリと零した。 「まあ間宮だって同じくらい傷ついてたんだもんな。だからよかったよ、ほんとに」 「優しいねぇ、清水くん」 颯太はそれをわざと茶化して清水くんの手を握る。 それを清水くんは即座に外した。 「握手するなら俺は渡来がいいな」 「えっ、わっ」 「だめに決まってる」 「あっ」 清水くんが僕の手を取ると、颯太がすかさず奪い取る。それをまた清水くんが奪って、それを颯太が取り戻して…… そんなくだらないやりとりを繰り返して気づけば三人で笑い声を上げている。 等身大の時間を過ごせているなって嬉しくなる。 それから清水くんを伴って自分の席まで行った。僕と颯太は席に座り、清水くんは壁に背を預ける。 「清水くん、旅行のことありがとう」 「ああ、勝手にごめんな」 「ううん。そのおかげであまり騒ぎにならなかったから、本当にありがと」 僕の笑顔を見て、清水くんは照れ臭そうに顔をそらした。 「まあでもさ、ここにいるってことは全部片付いたってことなんだよな?」 「うん。颯太は自由に生きていいって認められた。いつかは戻るとはいえ」 「ひゃー……俺には想像もつかないな。間宮ってすごいんだな」 「たまたまそこに生まれついただけだよ」 颯太は笑って否定するけど、実際かなりすごい人だろう。 だって天才だなんだって言われて、無理やり連れ戻される人材なんだから。それで颯太自身は苦しんでいたけれど……。 「ほーい、席つけー」 ドアを足で開け、松田先生が英語の問題を抱えながらよろよろ中に入ってきた。ドスンッと大きな音を立てて教卓に置く。 なんとまたもや運がいいことに、今回の模試担当教師は松田先生らしい。 「みんな来てるかー?」 そう言って教室を見渡した松田先生が僕と颯太のあたりで顔を止める。 ちょっと驚いた顔をした後、ニッて僕に向かって笑った。それを見たクラスのみんながきもっ、何笑ってんだよー、なんて声を出して、煩いって返していた。 松田先生には何も知らされていないだろうけど、なんだかんだ何かがあったことは感づいていると思う。 でもそんな生徒思いの先生にもちゃんと落ち着いたことを知らせることができた。 これでようやく一段落。やっと平穏が戻ってくる。 ちなみに、殆ど勉強していなかったせいで、模試の結果は散々だった。

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