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Starved heart 11
このところは夕食が終わったあと、すぐに誠也の家へ向かうようになっていた。
今日もそのつもりで夕食の席に着く。
父と母も無論、同じテーブルだ。夕食時は大抵父が九条に文句を言ったり、父の仕事の話を母が聞いたりする。
僕はいつも無言だった。無視は逆にありがたい。
だが今日は違った。
「柊」
「はい」
「最近、よく夜に出歩いているそうだな。使用人が心配していたぞ。何をしているんだ」
ナイフとフォークを丁寧に使いながら、父が問うてくる。
ちらりと端に控えるメイドらに視線をやる。毎日の陰口に飽きて、今度は父を使って僕を貶めるといったところか。
「知り合いに会いに行っています」
「夜に会う知り合いなど、どうせろくでもない人間なんだろうな。もしそれが九条や世間に知れたらどうする。ただでさえ面汚しのお前が」
ナイフを持つ手に力が勝手に入る。
僕は颯太にいつも負けるし、亜樹に酷い行為をしていた、貶されるに値する人間だ。だがだからといって誠也を馬鹿にするのは筋違いというものだろう。
「まあまあ、あなた、いいじゃないですか。こんな子のことなんて。どうせそのろくでもない知りあいに会っても、これ以上だめになる脳みそはありませんし。出来損ないはいざとなったら切り捨てればいいんです」
「それもそうだな。ところで明日の……」
今すぐこの場を立ち去りたい。だがそうしたら苛立ちを両親に自ら見せるようなものだし、メイドたちの思う壺でもある。
気持ちを抑えて食事をいつも通りに終える。
「ごちそうさまでした」
手を合わせたあと、食器やカトラリーはそのままに席を立った。
両親はまだご熱心に話している。
メイドに一瞥もくれず部屋を出て、今日は堂々と玄関から出て行ってやった。
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