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そのあとは授業を受けて、午前中に学校は終わった。
学校を出て僕が向かうのは家ではない。
昼だからいないかもしれない。そうわかっていても、誠也に会いたかった。少しでも会える可能性があるなら、行きたい。
そうしていつもの道を歩いていたら、
「おう、柊」
あのシャッターに、誠也が背を預けていた。
短い金髪、ピアス、黒目。僕が会いたかった人、そのものだ。まさか幻ではあるまい。
「……なぜ、いる」
「今日って言ってたから待ってた」
「来るかもわからないのに、馬鹿だな」
「可愛くねー」
隣に行くと肩をいつもの強い力で掴まれた。それから抱き寄せられる。
「なにするんだっ……」
真昼間から堂々と。いくら人通りが少ないとはいえ、誰かに見られたらどうする。
そう思っても僕は腕から抜け出せなかった。
逞しい胸に顔を埋めると、今まで感じたことのない安心感が広がる。
「あー、一雨きそうだな」
誠也がそうぼやく。
しかし空いた手はポケットを漁り、煙草を取り出した。ライターの音が聞こえて、独特の匂いが鼻腔に入り込む。
「これ吸ったら帰んぞ。一緒にな」
「……下手くそ」
「うるせー、餓鬼」
誠也の背に手を回し、顔が絶対に見えないよう強く抱きつく。
僕と誠也の真上には煌々と太陽が輝いていた。
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