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Newer image of the future 6
誠也の前に晒される僕の顔。
肩を掴まれているから抵抗することもできない。眉間にしわを寄せていない、少し驚いた様子の誠也と、見つめ合うしかない。
思考が停止して、顔だけ逸らすことも思いつかず。視線だけがゆっくり降下した。
「なっ……なぜ勃って」
するとたまたま誠也の下腹部に、しかも膨らんだ下腹部に、視線を合わせてしまった。
「いや、こんな可愛い様子見せられたら、そりゃあな。こちとらずっと我慢してたんだ」
「……ずっと、だと?」
「おれの好みの顔してたからな」
こいつの言い草だと、出会った当初から目をつけていたということなのだろうか。
男、なのに? 無愛想な可愛さの欠片もない生意気な人間なのに?
「普通は好きでもねぇ男家に招待しないだろ」
「なら、毎日助けに来たのは……」
「あー、柊がおれに会いに来てた時?」
「は、話を逸らすな!」
「はいはい、餓鬼が喚くな」
「餓鬼、餓鬼いうなっ……んぅ」
怒ると唇を奪われた。すぐに舌が入り込んできて、何も考えられなくなる。
くちゅくちゅという音。髪の毛に差し入れられる誠也の指。
徐々に僕の体は誠也になびいて、気づけば誠也の胸元を手で掴んでいる。なお懸命にキスに応えていると、背中がシーツに沈んだ。
「なあ、おれが挿れていいんだよな?」
「き、聞くな、そのようなこと……」
唇を離し、至近距離で問われる。視線を逸らした。
昨日からしてそれはわかりきっていることであろう。なのにわざわざ聞くのは、僕の羞恥を楽しむためか、本当に馬鹿か。
ちらりと視線を戻すと、後者だということがわかる。
「ならおれに挿れるか?」
「それは……無理だ」
「じゃあ挿れていいってことだよな?」
「だから、もうわかりきってるだろっ……」
「柊が本当に嫌がってるならやりたくない。だから言え、ちゃんと」
「〜〜っ」
阿保だ。馬鹿だ。こいつは。本当に。
自分は勃たせといて。ならそれはどうするっていうんだ。恋人が目の前にいるのに、トイレで虚しく抜くとでも?
なぜこういう時だけうざったいほどの優しさを発揮する。
そもそも僕だってもう既にそういう気分だ。引き返すことは、正直きつい。
なら、僕が、言うのか。
恥ずかしい。今なら死ねる。くそ。
「い、挿れていいから早くしろ! 馬鹿!」
「抱きつかれちゃできねーよ」
「煩い!」
やはり僕から出てくるのは可愛くない言葉。それでも誠也は嬉しそうだ。
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