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メイド冥土7

「んぅ、んっ……」 「あーき」 「そ、た……」 何度も舌や唇を吸われたりすれば、あっという間に脳がとろけてしまう。 やっと離れた時にはもう颯太に体重を預けてしまっている。 「亜樹は今、メイドさんなんでしょ? だから俺に強く言えないんだ」 「ち、ちが……颯太……」 だけど羞恥はきちんと残っていて、僕は首を横に振る。 でも颯太は顔ににやにやを広げる。 「颯太なんて言っていいの? メイドさんが、雇い主の息子を呼び捨てかぁ……」 「いじわるだ……」 「じゃあやめてって言わないと」 颯太はそれは嬉しそうに笑って、僕の頭を撫でてくる。ウィッグ越しだからいつもより遠く感じた。 亜樹って呼んでくれない颯太もなんだか遠く感じる。 仕事中だし、バレてはいけないのもわかってる。でも大好きな人を目の前にして、淋しさを堪えるなんてことも僕には無理で。 それくらい颯太が好きで。 「颯太さま……いじわる、やめてください……」 颯太の服を掴んで、気づけば、そう言っていた。 「……っ」 自分の声が耳に届いて、今の失態を認識する。 颯太を見ると、彼も同様に驚いていた。まるで本当に言うとは、と言わんばかりの顔。 カッと頬に熱が上り、目の端に涙がにじむ。 「僕もう行くから……!」 「待って」 「ひっ」 颯太は慌てて逃げ出そうとした僕の手を掴み、その膝は僕の下半身を刺激する。どうやらキスだけで勃っていたそれ。 へなへなと力が抜けてしまう。 「スカートの下こんななのに、戻れないよ」 「ひゃ……そのうち……あっ、収まる、もん……」 「俺が抜いてあげる」 「あっ、だめ……ひぅっ……」 颯太の膝は僕のものを容赦なく刺激し、あろうことか空いた二つの手が胸に伸びてくる。 服の上からすりすり擦られたり、摘まれたりすると、すごく気持ちいい。直に触られるのとはまた違う感触だ。 性器は治まるどころかどんどん膨らんでしまう。 だけど僕は颯太に体を預けるしかできない。 「やぁ……颯太、ンゥッ」 「あー亜樹、俺もだめかも……」 「んぇ……?」 颯太の悪戯がやっと終わる。だがとうにそのまま帰れる状態ではなくなってしまっている。 すると颯太は少し悩ましげな顔をして、僕を起き上がらせた。自分が先にベッドを降りると、僕の手を取って窓まで導く。 「ここに手をついて」 「ここ……?」 「うん」 体内で解放されずに残った熱。そのせいで僕はただ颯太に従うだけだ。 早く出したい。 頭の中はそればかり。 だから颯太の言う通りに窓枠に手をかける。レースカーテンの向こうに僕の手が見える。 「颯太、何するの……?」 「ちょっと待ってね」 「ひゃっ」 振り返ると颯太は一回僕にキスをする。 それからメイド服のスカートをたくし上げて下着に手をかけた。そして下着を思い切り下げる。 重力に従ってそれはすとんっと足元に落ちた。 ……もしかしてここでするつもりなのだろうか。 颯太の、実家で? 僕が、働いているところで? 熱と焦りが混ざり合って処理に時間がかかる。その間に颯太は僕のスカートごと腰を掴んだ。 これでは恥ずかしいところが、丸見えだ。

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