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メイド冥土8

「そ、颯太……?」 不安で見上げる愛しい人。 誤魔化すようにキスをされ、それに僕は流されてしまう。 そしてカチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。 「ンッ、んぅっ」 まさかならさずに挿れるのか。流石の僕でもそれは痛いとわかる。 我慢できないのかもしれない。でも、でもほんの少しでいいから、ならしてほしい。 そんな願いも合わさった口に溶けていくだけ。 「んっ……はっ、颯太、やっ」 「亜樹、太もも閉めて」 顔を無理やり前に向けて、やっと声を出す。だけど僕が抗議する前に颯太の性器が僕の下半身にくっついて。 思わず目を閉じた僕にやってきた感覚は、痛みとは程遠い。 「あっ、アァッ、なにっ……?」 「素股って言うの」 「すまた……?」 僕の太ももの間を、颯太のが、行ったり来たりする。 颯太の腰が打ち付けられるたびに僕のと擦れて、今まで感じたことのない快感が襲ってくる。 すまたって言うんだ、これが。 なんか、これって…… 「バックでしてるみたいでしょ?」 「ひぁっ、んっ……だめっ……」 颯太にぴたりと言い当てられる。 そう、これってえっちしてるみたいだ。挿れていないのに、打ち付けられる腰とか、えっちそのもので。 「亜樹、気持ちいい?」 「だめ、あっ、だめ……」 「聞くまでもないか。俺も気持ちいいよ」 颯太の声が直接耳に注がれて、更に気持ちよくなる。 腰を打ち付ける音や硬くなった性器同士が擦れる感触。颯太の荒い息に腰を掴む手の力。窓枠にかけた手から伝わる冷たさ。 「あっ、そうた、イッちゃ……」 「うん、俺も……」 「ア、ァアッ、ひぅうっ」 「……くっ」 ぴゅぴゅっと勢いよく二人分の精液が飛び出す。合わさったそれは床に落ちる。 ぼんやりその白い液を眺めながら、息を吸って吐いて、熱を整えていく。一度体から熱を吐き出せば、急速に熱は引いていった。 颯太はその間に僕の下着を直し、床にこぼれた液をタオルで拭う。 その光景が妙に生々しく見えて、羞恥が急激にこみ上げる。 どうしよう。今、僕は何をした? メイド服を着て、女装して、仕事中に、颯太と、えっちなことを、した………… 「亜樹、大丈夫?」 「ぁ……」 颯太を振り返る。颯太は僕を見ている。 僕は今、この人と、 「亜樹……?」 「……っ」 伸びてくる颯太の手から咄嗟に逃げた。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。 何やっちゃったんだろう、僕。 真っ赤になった頬を隠すように颯太の部屋から駆け出す。颯太が引き止める声が聞こえたような気がするけど構わなかった。

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