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華やぐ心6

清水くんからマフラーを受け取って他のを物色する。 清水くんにその都度つけてもらって色々なマフラーを試した。 グレーのマフラー。これもまた大人っぽすぎる。 千鳥柄のマフラー。柄が大きくて派手。 緑のタータンチェック。颯太のイメージに少しそぐわない。 色々試して特にいいのが見つからなかったので、他の店に移った。そこでも色々試す。 赤と黒のボーダーマフラー。颯太はどちらかといえば寒色が似合う人だ。 ワインレッドのマフラー。先に同じ。 様々な茶色のボーダーマフラー。少し子供っぽく見えた。 オルテガ柄の茶色マフラー。もう少しシンプルな方が似合いそう。 「うーん……なかなかないね」 「そうだな。おっ、これはまだ見てなくね?」 そう言って清水くんが取り出したのは粗めに編まれた真っ赤なマフラー。 「これは……」 「ないね……」 清水くんが静かにマフラーを戻す。 ここの店もあらかた見てしまった。次の店に移らなければならなそうだ。 しょんぼりして店を出ようとすると、一体のマネキンが目に入る。 「あれ……」 そのマネキンはマフラーをしていた。 いいのかなと思いつつそのマフラーを外させてもらう。 「いいのあった?」 「これ……いいかも……」 表と裏がそれぞれネイビーブルーとブルーの生地でできているマフラーだ。 シンプルで颯太に似合いそう。どちらかの色だけで使っても、両方見えるように使ってもいい。かつ全面黒の場合よりは重くない。 「おお。間宮に合いそうだな」 「うん。でも在庫がないのかな……」 自分が持ってるマフラーを見ても、値札は見つからない。周りの棚を見ても同じ商品はないみたいだ。 店員さんに聞いた方がいいかもしれない。そっとその顔を盗み見るけど、話しかける勇気は持ち合わせていなかった。 どうしよう、どうしようと一人で悩んでいると、清水くんがマフラーを僕の手から奪う。 「清水く……」 「あの、この商品の在庫ってありますか?」 「お確かめしますね」 店員さんが笑顔で店の裏に入った。 僕は慌てて清水くんに駆け寄る。 なんてスマートなのだろう。

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