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青翠と恋心1
昼食を済ませた僕と颯太はバスに乗って水族館までやってきた。わざわざ水族館前なんてバス停があるあたり、人気のスポットなのだろう。
白と青を基調とした外観の建物だ。大きくて広い。
建物を見ているだけで気分が高揚していく。
「颯太は水族館、来たことある?」
「ないよ。だから楽しみ」
「綺麗かな」
「今にわかるよ」
「うん」
建物の大きさに圧倒されながら中に入る。受け付けで入場料を払っていざ魚のもとに。
中は薄暗かった。
まず僕らを出迎えたのは筒状の水槽だった。そこだけ光に照らされて浮かび上がっている。
その何本もある水槽には、幾種類ものクラゲが泳いでいた。
赤や黄、青など色が違うものや、傘の部分が細かったり、大きかったり、模様が異なっていたり、職種が太かったり、異様に長かったり、量が多かったり。
ぽわんぽわん上へ下へ漂って、思わずつついてみたくなる。
「可愛いねぇ、颯太」
「それに幻想的だね」
「うん。綺麗……」
水槽に張り付いて指でつんつんする。まるで僕の指から逃げるように動くクラゲが可愛い。
スマホで気に入った子の写真を撮りながら歩いていく。
クラゲの水槽の間を抜けると、順路と書かれた看板が右を指している。
その通りに曲がると様々な魚の図解や説明が飾られた廊下に出る。そこもちょこちょこ見ながら進んでいった。
すると、
「……う、わぁ……!」
「おお……」
目の前に広がる巨大な水槽。
思わず感嘆の声を上げてしまう。
狭い通路から出てきたから余計に大きく見えた。
どうやらこの水族館売りの巨大水槽らしい。説明の載る看板には、水の量とかこの水槽がいかにすごいものかが書かれていた。
「あっ……颯太、ジンベエザメだよ」
「ほんとだ。亜樹ほら、ハンマーヘッドシャークもいる」
「すごい、すごいね」
「うん。そうだね」
僕が颯太の服をくいくい引いて指差したかと思えば、颯太が僕の肩を叩いて魚を示す。
二人とも初めてだから口は開きっぱなしだ。
その場で水槽を堪能したあと、やっとその傍へ行く。平日だからそこまで混んではいないけれど、水槽の前には人だかりがあった。
子供などの邪魔にならない程度に眺める。
近くで見るとより壮大だ。
サメだけじゃなく、小さめのカラフルな魚も泳いでいた。
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