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青翠と恋心8

シロイルカの大福ってやつ。頭の部分の丸さが大福に似てるからなんだと思う。美味しそうというより可愛くて、気になった。 でも今は知り合いのお土産を買っているから、自分用なんてだめかな……。 「自分たち用に買ってく? 久志さんにもついでに食べさせてあげればいいし」 「……うん、欲しい」 「そうしよう」 颯太は眩しい笑顔で大福を手に取る。 そしてパッケージをしげしげ眺める。 「可愛いね、これ」 「……う、うん」 意味ありげに微笑んでくるから恥ずかしくなってしまう。もうとっくにこういう趣味だというのはバレているとはいえ。 「他にも俺たちのお土産見ようか? というより少し目をつけてたのあるんだよね」 「えっ、どれどれ?」 颯太が僕の持つクッキーをさりげなく自分で持って、見つけたものの場所へ行く。 そこは雑貨が置いてある場所だった。僕が見る棚にはコップとかスプーンとかお皿とか、主に食器が陳列されている。 「このマグカップ。可愛いでしょ」 「本当だ……!」 その中で颯太が示したのはペンギンのペアマグカップだ。 ペンギンのイラストが描かれていて、くっつけると手を繋ぐ仕様になっている。 表面は白で、中がそれぞれ青色と黄色。 入る量も少ないわけではないから、実用性もちゃんとある。 「リス以外にペアのもの持ってなかったよね?」 「うん。普段使うもの欲しいね」 「よし、買おう」 そうして棚に伸びる颯太の手。 それを通り越して僕が箱を手に取った。 そして両手で持った箱を口元に掲げる。 「これくらい僕が持つ」 「うん。じゃあお願いします」 颯太が空いた手で僕の頬をくすぐる。それに笑みを零した。 持つ量に差はあるけど、僕だけ手ぶらなんて嫌だった。 これでお土産はほぼ揃った。あと探すのは久志さんの分だ。 颯太はさっきふざけたものがいいと言っていた気がする。 「ジンベエザメのハンカチとかは?」 「ん? 久志さんの?」 「そう。久志さんがこんなの持ってたら面白くない……? 使いたくなければ飾るとかできそう」 「あー、確かに。お土産と嫌がらせ半々になりそうでいいね」 颯太は何枚も引っかかるハンカチを一枚取った。 そしてお互いの持つものに目を向ける。 チョコレート、クッキー、大福、マグカップ、ハンカチ。 みんなの分がある。漏れはない。 「平気そうだね」 「うん」 二人で仲良く割り勘をしてお土産を購入した。 わざわざ袋を数枚入れてくれたから、それぞれの分をその袋に分けて入れた。そしてリュックとかばんにしまう。 もちろんこの時も颯太が多めに自分の方に入れてしまった。でもマグカップだけはしっかり僕のリュックの中だ。 そして渡す瞬間を楽しみに思いながら僕らはとうとう水族館を出た。

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