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閃々ラプソディ1
行き当たりばったりで飲食店を見つけて、夕食をとったあとは、イルミネーションをやっている公園に向かった。
冬だから見る見るうちに空は真っ暗になっていた。点々と星が散っている。
「公園もうそろそろ?」
「うん。ここら辺のはず……」
颯太がスマホの地図を見て、僕がそれを覗き込む。現在地と目的地はすぐそこだ。
颯太と改めて方向を確認して進んだ。
程なくして光の波が見え始める。
遠目からだと赤や青、黄や緑の煌めきが公園を覆っている。
そうして入り口に辿り着けば、電飾で飾られたアーチが出迎えてくれる。
まるで魔法の庭への入口みたい。
「綺麗だね」
「うん。入ろっか」
二人並んでアーチの中へ踏み出す。色とりどりの光が僕らを包み込んだ。
ぐるりと円を描くように視線を回す。
アーチは主に青系統の色で統一されていて、所々黄色が光る。まるで夜空を模しているかのようだ。すごく綺麗。
そのアーチをくぐり抜けるとすぐに巨大なクリスマスツリーが見えてくる。
円形に作られた池の真ん中に立っていた。
白の輝きの中に緑や青や赤が光り、頂点には黄色の星が煌めく。
池の形に合わせて道があり、それに沿って木が植わっていた。もちろんそれぞれにもイルミネーションが光る。
「クリスマスだね」
「うん。あのツリーすごく綺麗」
二人して立ち止まってツリーを少し離れた場所で見上げる。
息を吐くたびに視界が一瞬白く曇る。でもそんな寒さが気にならないほど荘厳な光だった。
試しにスマホを取り出してみる。写真に撮ってみたが、スマホでは綺麗に撮れるはずもなかった。諦めて瞳に焼き付ける。
「亜樹、写真欲しいの?」
「あっ……でもうまく撮れないや」
「うーん、夜って難しいもんね」
「うん。でも記憶したから平気だよ。行こう?」
「記憶って……。まあ、うん。行こっか」
道を右にそれて歩き出す。
ツリーの前では記念撮影している人が多くいた。僕も本当は颯太と二人で写真を撮ってみたい。でもそういう写真を撮っている人たちはカップルばかりだ。
そもそもここに訪れている人たちは十中八九カップル。イヴなんだからそりゃ当然だ。
写真を撮る人も、道行く人も、みんな楽しそうにお喋りして、手を繋いで、足並みを合わせて。
そんな我慢は慣れっこだけど、羨ましい気持ちはなくならない。寒い寒い聖夜には掌がとても冷たく感じる。
でも贅沢はいけない。二人でいることで十分なんだ。
気を取り直してイルミネーションに目を向ける。
ちょうど視界の先にキラキラ光るトナカイがあった。
「颯太見て、トナカイだっ……」
進もうとしたが、引き戻される体。
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