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閃々ラプソディ5

「あの〜お二人もどうですか?」 このまま別れて終わりだろうと思っていたところに、新たな爆弾投下。 ……僕たちも写真、ということ? 僕も颯太も意味が読めなくて困惑する。 女性らは僕らに一歩近づいてきた。 「ネタ写真って知り合いに見せたら面白いですよ!」 「話の種が増えますし!」 「将来それを見て笑い話になったり!」 「思い出が蘇ったり!」 「だからどうですか!?」 「……えっ、と……」 女性らが交互にぐいぐい言ってくる。 この方たちはネタ写真が大好きなのだろうか。撮ってもらえたことがすごく嬉しかったのだろうか。 今の僕にはそれぐらいしかこの勢いの説明がつかない。 颯太は気圧されながら僕を振り返って見る。僕はぎこちなく頷いた。 ひょんなところから幸運が舞い降りたものだ。 「じゃあ、お願いします……」 「はい!」 「喜んで!」 颯太が返事をしてスマホを渡すと、彼女らは更に嬉しそうにした。とても興奮している。 僕と颯太はハートの前まで行く。近くで見るとピンク色は他のイルミネーションより柔らかい光だとわかった。 恋人たちを祝福しているみたいだ。 まあ、彼女らの言葉を借りれば、今の僕らは寂しい男友達二人旅だけれど。 「ハート作る?」 「む、無理だよ……」 僕がぶんぶん首を振るから、結局無難なピースサインをすることになった。そして女性が構えるスマホを見る。 「いいですね〜! あっ、ちょっと寄ってもらえますか? そう! あともう少し、そう、そこです!」 やけに細かく位置を決められてから、カメラの音がする。「撮れました!」の声に二人こ元へ戻った。 女性らは輝かんばかりの笑顔でスマホを差し出してくれる。 画面を見せてもらうとちゃんと僕と颯太がハートに収まる写真が写っていた。ただ友達にしてはかなり距離が近い気がする。 ネタ写真というからこんなものなのだろうか。 でもとにかく嬉しい。恋人らしい記念写真。普通は撮れない物。 「ありがとうございます」 「あの、ありがとうございました……」 「いえいえ! こちらこそイロイロとありがとうございます〜!」 「本当に! ありがとうございました!」 颯太と僕がお礼をすれば、その倍の勢いで返される。そして僕らは笑顔で別れた。 ちなみに女性らは立ち去るとき何故かまた目頭を押さえていた。なんだか不思議で、でもとても優しい人たちだった。 「よかったね」 「うん。撮りたかったんだ……。あとで送ってね」 「もちろん。俺も嬉しいよ。まさかこんな幸運な事件が起こるとは」 「事件って失礼だよ〜」 「だね」 最後の最後に起きた嬉しい出来事に二人してニコニコ笑いながらまた進んでいった。 普通のイルミネーションの間を通り抜け、行きに見たクリスマスツリーのところへ戻ってくる。もう一度それを見てから、アーチをくぐって夢の世界を出ていった。

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