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サンタの降る夜10
「あ……あっ、ひぅ……」
もう何回イッたのだろう。颯太も何回イッただろう。
もう嫌だとも駄目とも言えない。大きな喘ぎ声も出なくて、弱々しく喘ぐだけだ。
意識だってかろうじてある程度だ。
「亜樹……」
「ぁ、ん、あぁ……」
颯太が僕の頭に指を差し入れて撫でてくれる。それが嬉しくてふにゃりと笑う。
腕を伸ばすと颯太が体を近づけてくれて、簡単に手が届いた。
もう服は全て脱いでしまっている。だから触れる腕は直接背中に触れる。
素肌ってやっぱり、好き。素肌が、いい。
触れ合うのは、素肌が、いい。
直接の熱が、安心する。
「そうた……すき……あっ、あぅ……」
「うん。俺も大好き」
律動はとても緩やかなものだった。多分そろそろ終わりだと思う。
そもそも僕の体力が、尽きそうだ。
ぱちゅん、ぱちゅんってゆったり打ち付けられる腰。柔らかい快感が体にやってくる。
「……そうだ。亜樹」
「……?」
颯太は優しく僕の腕を解くと枕の上に横たえさせる。それから僕の手を自身の心臓まで導いた。
颯太の胸板は硬くて頼もしい。
そしてその心臓はバクバクと強く大きく早く鼓動していた。
「俺だって亜樹といるといつもこんな感じなんだよ。俺もずっとドキドキしてる」
「……颯太」
目の前に水の輝きが蘇る。
颯太だって何から何まで気づくわけじゃない、なんて思ったんだっけ。でも違った。颯太はちゃんと気づいていてくれた。
今言うつもりだったから、あえてその時は何も言わなかったんだ。
颯太は焦らすのが好きなのかな。
でも、どうだろうと、嬉しい。
颯太もちゃんとドキドキしてくれてるんだ。
「恋なんて初めてだからわからないことだらけだし、慣れてないからドキドキしっぱなし。亜樹とおんなじ」
「うん……うん、嬉しい」
濡れきった目の縁にまた涙が浮かぶ。
大好きだって気持ちがそのまま表情になる。
「……颯太?」
「ごめん。もう少し、頑張れる?」
そしたら性器を硬くする男が、ここに。
今はそんな雰囲気じゃなかったのに。というか僕はもう限界なのに。
颯太は今のですっかり元気を取り戻してしまったようだ。いや、元からそこまで疲れていなかったのかもしれない。
僕より出している回数少ないし。
無言を了承と取ったのか、颯太の手が腰に触れる。
違う。今のは無言ではなくて考えてただけ。いや無言は無言だけど。
「ま、まって……」
「あと少しだけね」
「や、そうたっ……あっ」
こうして聖夜は更けていく。
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