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潮風と旅の終わり3
海から去ったあとは、有料ロッカーに荷物を預けて街をぶらついた。めぼしい所をあらかた回ってから、帰路に着いた。
一時間半ほどで無事に颯太の家の最寄駅に帰り着いた。
そのまま颯太の家へ行く。
「そんな経ってないのに久しぶりな感じ」
「濃い時間を過ごしたもんね」
颯太が鍵を開けて中に入る。
久志さんはいるだろうか。あの気楽な雰囲気が待ち遠しい。
「ただいまー」
颯太の声と一緒にリビングへ入る。
「おー、おかえり」
「……わっ、すごい」
「なにこれ」
すると視界には豪華なダイニングテーブルが入った。
七面鳥というわけではないけどお皿に散りばめられた大きめのチキン。肉ひとかたまりから直接切っていただくローストビーフ。低めのカクテルグラスのような容器に入ったシーザーサラダ。カラフルな具材のカナッペ。大きな貝と海老が乗るパエリア。野菜がたっぷり入ったポトフ。
そしてテーブルの真ん中にはココアのケーキ。いちごと、家型とサンタ型のチョコレートが乗っている。
「早めに帰ってくるっつってたから作っといたわ」
「すごいな……」
「美味しそうです……!」
これほど豪華なクリスマス料理なんて見たことない。そもそもクリスマスだからってパーティのようなことをしたことがないから。
瞳をキラキラ輝かせてテーブルを眺める。
「おーおー、亜樹ちゃん! 久しぶりだなぁ」
「お久しぶりです」
「亜樹ちゃんのために作ったんだぜ」
テーブルを回って久志さんが僕の方へやってくる。相変わらずの笑顔を浮かべて、僕の腰にぎゅっと抱きつく。
「……つっ」
「おわ、悪ぃ」
すると腰にズキンと痛みが走った。久志さんが慌てて手を離す。
今日だけは腰は労わらないとだめなんだ。歩くのもゆっくりじゃないといけないくらいだから。冬休みでよかったと心底思う。
久志さんに触られたところをさすっていると、久志さんがそれをにやにや見てくる。
「へぇ〜、そっかそっか。亜樹ちゃん、昨日激しくされたのかぁ〜。なぁるほどね」
「あっ、な、やだ……」
顎に手を当てて僕を覗き込もうとする久志さんから逃げる。そして颯太の背中にくっついた。
久志さんの頭の中ではどんな映像が流れているんだろう。めちゃくちゃに乱れている僕とか想像しているんだろうか。
いや、そんな人ではないとわかっているけど、とにかく恥ずかしいから……。
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