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あけまして4
大晦日の夜はいつもより静かな気がする。
僕の小さな布団に無理やり二人で入る。
二人暮らしが長いから布団がもう一つあるはずもなかった。母さんは申し訳なさそうだったけど、僕らにはもうこれが当たり前だ。
こんなこと口が裂けても言えないけど。
「やっぱり狭いね、僕の布団だと」
「俺のベッドも大差ないでしょ」
「そうかも。それにもう慣れたよね」
「そりゃあお互いの家に何回泊まったかって感じですから」
「そうですね」
暗闇の中、母さんにばれないよう顔を寄せてぼそぼそ話すのも、なかなか楽しい。
颯太の腕が腰に回る。お尻に向かったそれをぺしっとはたいた。睨むふりをすると颯太は綺麗に笑う。
「あ、颯太」
「んー?」
むにっと颯太の両頬を掴む。意外に柔らかい。
それを外側に向けて引っ張る。
「いひゃいよ、あひ」
「ふふ。お仕置き」
「なんへ」
「散々からかったから」
ビールを飲んだ母さんはあの後、どんどん気分が高揚してしまった。食事が終わっても勢いは止まらず、颯太だって調子に乗って色々話した。
話題は僕のくせに颯太は僕を全然構ってくれなかったし。
これくらいはする権利があるはずだ。
何回か同じことを繰り返した。颯太は大人しく僕にされるがままだった。腰の手も動かない。
気が済んだところで手を離し、颯太の胸に埋まる。
「あー、痛かった。頬伸びたらどうするの」
「知らない」
颯太は自分の頬をさすりながら、僕の頭も撫でる。こうして颯太にくっついているときは、僕が颯太を独り占めできる。
「拗ねてる?」
「……颯太、母さんに僕のこと話してばっか」
「ごめんね。亜樹のこと大好きだから誰かに話したくなっちゃうんだよ」
「……ずるい、そういうの」
「自慢のお嫁さんだからさ」
反省しない颯太の胸にぐりぐり頭を擦り付けてやった。痛くたって知らないんだから。
颯太の片手が腰に回り、頭を撫でる手もまだそこにある。そしてつむじにキスをされた。
「……僕のお婿さんも自慢だもん……」
胸で口を隠してくぐもった声で言う。
聞こえたのかは知らないけど、颯太はぎゅっと抱きしめてくれた。
僕も背中に手を回してきゅっと服を掴んだ。
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