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憂懼か百福か13
「颯太さま、起きていらっしゃいましたか」
「うん。どうしたの?」
「どうやら小動物が侵入したらしく、お部屋を回らせていただいています」
「そうなんだ」
颯太は見回りの人と話しながら僕を見る。そしてニヤッと笑った。
それの意味することがわかって僕は目を見開く。いやいやと首を振るが颯太は無情にも、腰の動きを再開する。
「んっ、ンンッ……」
「睡眠をお邪魔してしまいすみません」
「いや寝てなかったから平気」
「ンゥ、んっ……」
「左様ですか。お勉強ですか?」
「んーん。違うよ」
「あまり夜更かしなさらぬよう。お体に悪いですから」
「はーい」
よかった。もう終わる……。
そう思ったのにまたもや颯太がにやりと笑う。そして僕の腕に魔の手を伸ばす。懸命に力を込めたけど颯太に敵うはずもない。
「ひっ……!」
腕を剥がされた瞬間、ズンと奥を突かれてしまった。
羞恥を通り越して涙が滲む。もう遅いけれど手だけはすぐに戻した。
「颯太さま? 何か聞こえませんでしたか?」
「俺は聞こえなかったよ」
案の定、今の声は見回りの人に聞こえてしまっている。どうしよう、不審者かなんかだと思って部屋に押し入ってきたら。
もう終わりだ。颯太だって終わりだ。なのになんで自分から悪いことを招くようなことをする。
「でも……もしかして中に何かいらっしゃるのでしょうか?」
「……いや、いないよ。食堂とかどう? 足音忍ばせて行けばさ」
「……なるほど。ありがとうございます。では失礼します」
「おやすみ」
見回りの人が去る時間をたっぷり取ってから腕を外す。息を吐こうとしても吐けず、慌てて吸った。
それから涙を零す瞳を颯太に向けた。
バレなかったけど、どうしようもなく悲しくて、恥ずかしくて。
珍しく腹立たしい気持ちもあるかもしれない。情事の時にはまず抱くことはないのに。
「颯太、何考え……ひぁっ! あ、アアッ」
「つい意地悪したい気持ちが、ねっ……」
「あぁん、あっ、あぁっ……!」
涙を流し、快楽に溺れ、僕は結局行為を続ける羽目になった。
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